ウェルビーイング関連情報総合ポータルサイト。ウェルビーイング関連の健康・幸せ・働き方・地域・企業・教育などの最新情報・実践知・研究論文紹介などコツコツ発信中です。

ウェルビーイングを中心としたシステムデザイン方法論:幸せを「設計」する新しいアプローチ

2025.08.14
学術研究・論文

幸せは偶然ではなく「設計」できる

突然ですが、あなたの職場や住んでいる街で「なんとなく居心地が悪い」と感じたことはありませんか?実は、そうした環境の多くは、人の幸せや健康を意識的に考慮せずに作られているからかもしれません。

慶應義塾大学の前野隆司氏らの研究チームが提案する「ウェルビーイング中心型システムデザイン方法論」は、まさにこの問題に正面から取り組んでいます。この手法は、製品、サービス、組織、地域づくりなど、あらゆる分野において「人の幸せ」を明確に意識したデザインを行う画期的なアプローチです。

ウェルビーイングとは何か?

まず、ウェルビーイングという概念について整理しましょう。世界保健機関(WHO)の定義によると、ウェルビーイングとは「身体的、精神的、社会的に良好な状態」を指します。これは単なる「病気でない状態」を超えて、心身ともに充実した状態を意味しています。

研究では、ウェルビーイングを「身体的に良好な状態(健康)」「精神的に良好な状態(幸せ・幸福)」「社会的に良好な状態(福利・福祉)」の3つの要素に分けて考えています。

特に注目すべきは、幸せな人は不幸せな人と比べて、寿命が7〜10年長く、創造性が3倍高く、生産性が1.3倍高いという研究結果です。つまり、ウェルビーイングを高めることは、個人だけでなく社会全体にとって大きなメリットをもたらすのです。

従来の設計との決定的な違い

これまでの製品やサービスの設計では、機能性や効率性が重視されがちでした。しかし、この新しい方法論では「幸せの構成要素」を明確に設計プロセスに組み込みます。

例えば、前野氏らが提唱する「幸せの4つの因子」を見てみましょう。これは「やってみよう(自己実現と成長)」「ありがとう(つながりと感謝)」「なんとかなる(前向きと楽観)」「ありのままに(独立と自分らしさ)」という4つの要素から構成されています。

従来のアプローチでは、これらの要素は結果的に満たされることを期待していました。しかし、新しい方法論では、これらを「陽に」つまり明示的に設計に織り込むのです。

実践的なデザインプロセス

具体的なデザインプロセスは、マトリックス法やブレーンストーミングなどの手法を用いてアイデアを生成することから始まります。例えば、表の縦軸に「幸せの4つの因子」、横軸に「子供、子育て世代、高齢者、障がい者」を配置し、それぞれの交点で具体的なアイデアを考案します。

このプロセスの革新的な点は、アイデア出しの段階から最終的な評価まで、一貫してウェルビーイングの視点を維持することです。従来の事業性評価に加えて「利用者や社会のウェルビーイングにどれだけ寄与したか」という評価軸を設けることで、真に人を幸せにする設計が可能になります。

幅広い適用事例と可能性

この方法論の魅力は、その適用範囲の広さにあります。積水ハウスとの共同研究による「住めば住むほど幸せ住まい」プロジェクトでは、住宅設計にウェルビーイングの要素を組み込んでいます。また、介護施設でのフラダンス活動、企業の幸福経営研究、地域の街づくり、教育現場での取り組みなど、多岐にわたる分野で実践されています。

特に興味深いのは、教育分野での応用です。「幸せ応援シート」という四つ葉のクローバー形のワークシートを使い、児童・生徒が自己開示を行い、仲間が応援メッセージを書き込む仕組みは、学習者のウェルビーイング向上とチームの一体感醸成に効果を上げています。

社会変革への大きな一歩

世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ会長が提唱する「グレートリセット」では、「人々の幸福を中心とした経済への転換」が必要だと述べられています。この研究は、まさにそうした社会の方向性を具体的な設計手法として実現する取り組みといえるでしょう。

現代社会では、経済的な豊かさだけでなく、持続可能で人間らしい社会の実現が求められています。ウェルビーイング中心型システムデザインは、そうした社会を「設計」するための実践的なツールを提供しているのです。

この方法論が様々な分野に広がることで、私たちの生活環境、働く場所、学ぶ場所、住む場所すべてが、より人間らしく、より幸せな空間へと変わっていく可能性を秘めています。あなたの身の回りの環境も、この視点で見直してみてはいかがでしょうか。

キーワード: ウェルビーイング、システムデザイン、幸せの4つの因子、主観的幸福、ポジティブコンピューティング、デザイン思考、組織マネジメント、教育デザイン、コミュニティデザイン、幸福経営

参考文献(論文)
ウェルビーイングを陽に考慮したシステムデザイン方法論-第1報:設計論の基本概念とその適用領域-


この記事に “ありがとう” を伝えますか?
やさしい気持ちが私たちの励みになります!
父/夫/Webプロデューサー

自宅庭にあるレモングラスのハーブティーとエナジードリンクとプロギング好きの当サイトWebプロデューサーです。幸福学の第一人者、前野隆司教授のVoicyにある「ディープタイムウォークVoicy版」を聞きながら森の中を歩くことにかなり心地良さを感じてます。三島ウェルビーイング協議会/ウェルビーイングプロギング代表。プロギングジャパン認定プロギングリーダー、GLOBIS公認学び放題アンバサダー、デジタル庁 地域幸福度(Well-being)指標活用ファシリテーター、ウェルビーイング ダイアログカード認定ファシリテーター、静岡県三島市在住です。SNS繋がり大歓迎です!

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

コメントを残す

目次