「環境政策」というと、CO2削減や生物多様性の保全といったテーマをまず思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。私もどちらかといえばそうでした。ところが最近、環境省の審議会の資料を読んでいて、思わず「おおっ」となりました。そこには「ウェルビーイング」という言葉が、政策の根幹に位置づけられていたのです。
今回ご紹介する内容は、ちょっとマニアックですが、環境省の中央環境審議会総合政策部会(第121回)の議事要旨です。静かに白熱した議論が展開されていると感じました。
この審議会は、環境政策全体の方向性を議論する場です。その議論の中で注目されていたのが、「環境」と「ウェルビーイング(Well-being)」の関係性です。
ウェルビーイングとは、一言でいえば「身体的・精神的・社会的に良い状態」のことです。単なる「健康」よりも広い概念で、「今この瞬間だけでなく、人生全体として満たされている感覚」と理解するとイメージしやすいかもしれません。
この議事要旨では、環境の質の向上が人々のウェルビーイングに直結するという観点から、政策の評価指標や目標設定の見直しが議論されています。つまり、「環境を守ることは、人を幸せにすることだ」という視点が、国の政策の場に正式に持ち込まれてきているのです。
私は静岡県三島市に住んでいますが、例えば、冬の澄んだ空気の中に立つ富士山を見るたびに、自然と深呼吸したくなる自分に気づきます。また、自然との関わりが幸福度向上に影響を及ぼすことは、多くの研究で示されています。
環境省がウェルビーイングを政策の軸に据えようとしているのは、ある意味で「当たり前のことを、ようやく言語化し始めた」ということかもしれません。環境を守ることは、遠い未来のためだけではなく、今日の私たちの心と体の豊かさのためでもある。その認識を国の政策にしっかりと組み込む議論が行われていることは、ウェルビーイング研究の視点からも心から歓迎したい議論です。
同時に、地域に生きる私たちひとりひとりにとっても、これは他人事ではありません。自分の住む街の自然環境を大切にすることが、自分自身のウェルビーイングを育むことでもある。そのように現在と未来をウェルビイーイングで繋ぎますと、ゴミ拾いひとつとっても、少し違って見えてくる世界があるように思います。
皆さんは、日常の中で「自然に触れたとき」に幸せを感じた経験はありますでしょうか。
参考文献・参考サイト
環境省/中央環境審議会総合政策部会(第121回)議事要旨
https://www.env.go.jp/council/content/i_01/000389934.pdf
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