今日ご紹介するのは、地球のウェルビーイングについてもつながる森とウェルビーイングについてです。皆さん、林野庁が2025年7月に開設した「森業ポータル」ってご存じでしょうか。林野庁が運営する「森業(もりぎょう)」に関する情報をまとめたWebサイト(ポータルサイト)のことです。このサイトでは、森林を単に「木材を切り出す場所」としてだけでなく、観光、癒やし、教育、企業研修など、森林空間を幅広くビジネスに活用する情報を集約し「ワンストップ(1箇所)」で提供しています。(私たちウェルビーイングポータルサイトは、ウェルビーイングに特化したポータルサイトですが、その森林版のような感じです。)
そこで、令和8年2月25日、林野庁主催の「令和7年度山村と企業をつなぐフォーラム」が開催されたことについて掲載されていました。豊かな森林空間を活用した体験プログラム(森のプログラム)を展開する山村地域と、それを社員研修や組織づくりに活用したい企業をつなぐことを目的としたこのフォーラムの報告を読んで、ずっと頭の片隅にあったことがひとつながりになった感覚がありました。
内閣府の調査(令和5年10〜11月)によると、成人の5割以上が過去1年間に一度も森林に行っていない一方で、8割以上が「日常生活の中で森林での散策やウォーキングなど、何かしたい」と回答しています。この大きなギャップは、都市生活の忙しさだけでなく、山村地域と都市をつなぐ「接点のなさ」が原因の一つではないかと、以前から感じていました。
今回のフォーラムで基調講演を行ったのは、武蔵野大学ウェルビーイング学部長・慶應義塾大学名誉教授の前野隆司教授。「SDGs・VUCAの時代における自然を活かしたウェルビーイングな組織づくり・人づくり」と題した講演で、人類が今、「経済成長第一(人類3.0)」から「Well-being第一(人類3.1)」への転換点にいるという大きな見取り図を示されました。そのなかで特に印象に残ったのが、自然と幸福の関係についての研究知見です。自然とのつながり(Nature Connectedness)が強い人ほど幸福度が高く、特に「生きがいや成長」にかかわるエウダイモニックウェルビーイングとの結びつきが強いことが複数の研究で示されており(Capaldi et al. 2014; Howell et al. 2011)、また人には自然とつながりたいという生来の欲求があり、それが満たされるとポジティブな感情が改善するというバイオフィリア仮説(Wilson, 1984)も紹介されました。
第2講演では、株式会社ライジング・フィールド代表取締役社長の森和成さんが「森の企業研修・オフサイトミーティングで拓く、自律型・共創型の組織づくり・人づくり」と題して登壇。森の中でのオフサイトミーティングが、主体性・関係性・創造性を高めることを実践から報告されました。屋外での会議に効果があることは研究や企業事例でも確認されており、単なる「気分転換」ではなく、組織の質そのものを変える可能性があることが少しずつ明らかになってきています。
私自身、静岡県三島市でウェルビーイングプロギング(まちや自然の中でゴミを拾いながら走る新しいフィットネス)の活動を続ける中で、自然の中に身を置くことの効果を体感してきました。また、デジタル庁の「地域幸福度(Well-being)指標活用ファシリテーター」として各地の幸福度を考える立場からも、山村地域が持つ「場の力」は、数字では測りきれない価値があると感じています。
林野庁はこうした取り組みを「森業(もりぎょう)」と名付け、木材供給にとどまらない森林の文化的・生態系的な価値を活かした新しい産業の形として推進しています。人口減少が進む山村地域にとっても、人的資本の強化を模索する企業にとっても、森を媒介としたこの新しい関係性は、これからの日本社会にとってひとつの希望の芽のように思えました。
よろしければ、ぜひ以下の情報ソースをご覧になってみてください!森と幸せについての深い学びを得られると思います。
出典・参考文献・参考サイト
林野庁(令和8年)「令和7年度山村と企業をつなぐフォーラムについて」(令和8年2月25日開催)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sanson/kassei/sangyou/260306_1.html
林野庁(令和8年)フォーラム配布資料①「山村と企業をつなぐフォーラム 開催主旨」
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sanson/kassei/sangyou/attach/pdf/260306_1-1.pdf
前野隆司(令和8年)「SDGs・VUCAの時代における自然を活かしたウェルビーイングな組織づくり・人づくり」(フォーラム基調講演①配布資料)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sanson/kassei/sangyou/attach/pdf/260306_1-2.pdf
コメント
この記事へのコメントはありません。