そもそも幸せって何?
「幸せになりたい!」って誰もが思いますよね。心理学の世界では幸せを2つのタイプに分けて考えています。それが「ヘドニック・ウェルビーイング」と「ユーダイモニック・ウェルビーイング」。
とても難しそうな言葉ですが、要するに「楽しい系の幸せ」と「意味がある系の幸せ」です。この2つ、似てるようで実は全然違うんです。
楽しい系の幸せ──ヘドニック・ウェルビーイング(HWB)
これは、「主観的幸福感」や「快楽的な幸せ」とも呼ばれ、自分の人生を感情的・認知的にどう評価しているかに注目する概念です。簡単にいうと「今、幸せ?」という問いに対する答えです。
この楽しい系の幸せは3つの要素で構成されています。
ポジティブ感情が多い ── 楽しい、嬉しいといった気持ちを日常的に経験すること。美味しいものを食べたとき、友人と笑い合ったとき、仕事がうまくいったとき。そうした喜びの瞬間が多いかどうかです。
ネガティブ感情が少ない ── 悲しみや怒り、不安といった気持ちをあまり経験しないこと。もちろん人生には辛いこともありますが、それが日常的ではないということです。
人生への満足 ── 自分の人生全体を振り返ったときに「満足している」と判断できること。完璧である必要はなく、「まあまあ良い人生だな」と思えることが大切です。
わかりやすいけど、それだけでいいのか問題
この「楽しい系の幸せ」のいいところは、超シンプルなことです。「自分が幸せって思えば幸せ」。他人にどうこう言われる筋合いはない。
ただ、快楽だけを追い求めると、挑戦を避けたり、短期的な満足に流されたりしてしまうこともあります。Netflix見てゴロゴロしてるのは最高に幸せだけど、それだけの人生ってどうなんだろう..って思ったりします。常に楽な道を選び続けることが、本当の幸せにつながるのか。そこには疑問も残ります。
意味がある系の幸せ──ユーダイモニック・ウェルビーイング(EWB)
こちらは心理的成長と自己実現に焦点を当てた幸福で、簡単にいうと「自分らしく生きてる?」という問いです。ウィスコンシン大学のキャロルリフ教授が6つの要素を挙げてます。
自律性(自分で決めてる感) ── 他人の期待や社会の圧力ではなく、自分の内的な価値観に従って生きること。「みんながやっているから」ではなく、「自分がそうしたいから」という選択です。SNSでバズってるからって理由だけで何か始めるんじゃなくて、本当に自分がやりたいことをやる。
良好な人間関係 ── 他者を信頼し、深いつながりを持てること。表面的な付き合いではなく、本音で語り合える関係があるかどうかです。表面的な「いいね」の数じゃなくて、本音で話せる人がいるかどうか。困った時に頼れる、嬉しい時に一緒に喜んでくれる、そういう関係。
環境制御力(人生をコントロールできてる) ── 人生の困難やストレスを管理し、機会を活かす力。自分の人生を主体的にコントロールしている感覚です。何か問題が起きた時に「もうダメだ…」じゃなくて、「よし、どうにかしよう」って思える感覚。
自己受容(これが自分) ── 長所も短所も含めて、ありのままの自分を受け入れられること。完璧である必要はなく、「これが自分だ」と肯定できる態度です。完璧じゃないけど「まあこれが自分だしな」って受け入れられること。SNSの誰かと比べて落ち込みすぎない。
人生の目的(やりたいことがある) ── 「何のために生きているのか」という問いに対する答えを持つこと。大きな夢でも、日々の目標でも構いません。別に世界を救うとかじゃなくていいんです。「資格取りたい」「こんな仕事してみたい」「こういう人になりたい」みたいな、何か目指すものがあること。
成長してる実感 ── 新しい挑戦や困難を、成長のチャンスとして受け止められること。失敗を恐れず、学び続ける姿勢です。新しいことに挑戦するのって怖いけど、それを「チャンス!」って思えるかどうか。失敗しても「勉強になった」って前向きに捉えられるか。
わかるけど、これめっちゃしんどくない?
この「意味がある系の幸せ」って疲れませんか?常に成長しろ、挑戦しろ、自分らしくあれって言われてる感じがして。
ただ、不思議なことに、人って意外とこの幸せも求めてるんですよね。ただダラダラ楽しいだけだとなんか物足りない。「意味がある系の幸せ」がないと、「なんか生きてる感じがしない」と思ってしまう。
資格取得のための勉強、新しい分野への挑戦は瞬間的には辛いかもしれませんが、自分の価値観と結びついているからこそ、人は選ぶんだと思います。それがEWB的な充実感なのかなと。
で、結局どっちが大事なの?
研究によると、多くの場合、楽しく生きてる人は充実もしてるし、充実してる人は楽しくもあるらしいです。つまり、ヘドニックとユーダイモニックの間には高い相関があり、両方大事。なので、どちらかではなく、両方バランスよくが正解な気がします。
大切なのは、人生のステージによってバランスは変化するということです。挑戦の時期には成長(EWB)に重きを置き、休息の時期には楽しみ(HWB)で回復する。あるいは、困難な目標に向かう日々の中に、小さな喜びを見つける工夫をするということが大切なのかなと。
最後に改めて違いを整理しておきます。
- HWBは「楽しく成功しそうなこと」と結びつく ── 趣味を楽しむ、友人と過ごす、リラックスするなど、ポジティブ感情をもたらす活動です。
- EWBは「自分らしさを表現すること」と結びつく ── 自分の価値観に沿った選択、挑戦的なプロジェクト、社会貢献など。必ずしも「楽」ではありません。
- 他者との関わり方にも違いが ── 他者から親切にされるとHWBが高まりますが、他者に親切にする行為はEWBと関連します。「受け取る幸せ」と「与える幸せ」は質が異なるのです。
参考文献
Diener, E., Oishi, S., & Tay, L. (Eds.). (2018). Handbook of well-being. DEF Publishers (Noba Scholar). https://static1.squarespace.com/static/65f0a38858b34640d8d1d19a/t/663ba4b32297654ef513dcc0/1715184831926/Handbook-of-Well-Being.pdf
太田 雄介. (2026年1月26日). 幸福感の概念と構成要素 ウェルビーイングハンドブック_第一章:序論、歴史、および測定③ [Facebookグループへの投稿]. ウェルビーイング. https://www.facebook.com/groups/wellbeinginfo/permalink/2141448903332463
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