世界幸福度ランキング2026年版が発表されました。日本は147カ国中61位、スコアは6.130点(10点満点)で、前年の55位から6つ順位を下げました。数字に一喜一憂する気持ちはあまりありませんが、また少し下がったんだなあと、率直な感想と同時に、数字をもう少し細かく見ていけたらと思いました。
その中で、私が特に気になったポイントは、要因別の順位です。健康寿命は世界2位、1人あたりGDPは28位、腐敗の少なさも29位と上位をキープしている一方、「人生の選択の自由」は85位、「寛容さ(寄付や慈善活動への参加)」は122位という低さでした。G7の中で日本だけが60位台という結果も、少しこのアンバランスと関係があるかもしれません。
ただ、「寛容さ122位」については少し立ち止まって考えたいことがあります。この指標は「過去1カ月に慈善団体へ寄付をしましたか?」という質問への回答が主な根拠になっています。日本人の「私なんかまだまだ」という謙虚さや、どちらかというと慎ましいことに美徳を感じる文化の中での控えめな自己評価が、こうした調査の回答に影響している可能性も研究者の間では指摘されています。文化と幸福の関係を専門に研究されている京都大学の内田由紀子先生は、日本では関係性のなかに幸せを見出す「相互依存的な幸福観」が強く、個人の達成や所有を軸にした西洋型の測定基準がそのまま当てはまるとは限らないことを示されています。数字をそのまま「日本人は寛容でない」と断定するのは、少し早急かもしれません。
だからこそ、世界規模の調査と並行して、文化的・地理的な背景を考慮した測定が重要になります。そういった観点からも、日本のウェルビーイング学会(代表理事:武蔵野大学ウェルビーイング学部長の前野隆司教授)が3月18日に発表した「日本版ワールドハピネスレポート2026」は、大変意義のある取り組みのひとつです。「経済的豊かさを追うことに加え、自分の意志で人生を選べている感覚を高め、不公平や不正のない社会を築くことが国民の幸せに直結する」という知見を、日本の文脈に沿って整理しています。世界の調査と日本独自の視点を重ねることで、幸せのカタチへの理解がより立体的になっていくと感じています。
私が自分の暮らすまちの三島ウェルビーイング協議会の活動で地域の方々とウェルビーイングやしあわせについて話していますと、「あなたは今、幸せですか?」という問いに多くの方々が少し間をおきます。不自由があるわけでも、不満が多いわけでもない。それでも、もしかすると「自分で選んでいる」という実感を、どこか手放してしまっているような感覚というのでしょうか、これは先ほど述べた日本人の謙虚さや謙遜とは少し違う印象として感じることがあります。
しかし、裏を返せば、こういった方々は、これからもっともっと幸せを感じる事ができる「伸びしろ」があるとポジティブな捉え方もできるのではないでしょうか。61位という数字に向き合いながらも、その数字をどう読むかにも文化や文脈があると思います。色々な角度から「日本の幸せ」を測り、言語化していく試みと、それらに基づいて、幸せを実感できる取り組みがさまざまな方面で実践され、広がっていくことを期待しながら、私自身、その一助になれるとうれしいなと思います。
出典・参考文献・参考サイト
【世界幸福度ランキング】日本の幸福度、2026年は61位に後退 トップはフィンランド
https://www.asahi.com/sdgs/article/16438159
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