パソナグループと東北大学統合日本学センターが共同研究をスタートさせました!テーマは「日本的ウェルビーイングの探究と地域資源との共生」とのこと。
「日本的ウェルビーイング」という言葉が、この研究のとてもユニークなポイントのように思います。ウェルビーイング研究は、心理学や経済学の視点から「人がどう幸せを感じるか」を測定・分析するものが多い中で、この共同研究は、日本の文化・歴史・思想といった「日本学」の視点からウェルビーイングを捉え直そうとしている点がとても面白いと感じました。「測る」だけでなく「日本という文脈でどう定義するか」という根本的な問いから出発している点は、他の研究と一線を画しているように思います。
また、「地域資源との共生」という副題が加わっている点にも注目しています。里山、祭り、地域の手仕事、コミュニティの絆・・・、そうした日本各地に根ざした有形無形の資源が、人々の幸せとどのようにつながっているのか、その関係性を丁寧に解き明かそうとする試みは、地域でのウェルビーイング実践において非常に示唆に富む視点かと思います。
地方を見直す視点や活性化させる活動は、全国各地で長らく進められていますが、そのような中で、パソナグループは地方創生への取り組みとして、本社・本部機能の一部を淡路島に移転したことでも知られています。その淡路島では、「Awaji Well-beingコンソーシアム」を立ち上げ、モビリティとウェルビーイングをテーマにした「MobiWell Awaji」など、地域を舞台にしたウェルビーイングの実践を続けています。今回の東北大学との共同研究は、こうした実践の積み重ねを学術知と接続しようとする動きとして読み取ることができそうで、全国各地で、こういった接続が増えていくことに期待したいです。
地域・ウェルビーイング・自然・文化・歴史の交差点で研究を積み重ねる研究も増えています。ウェルビーイング研究者で著名な保井俊之教授(武蔵野大学 ウェルビーイング学部教授)らは、「地域住民間のつながりを増進する地域通貨の利用による主観的ウェルビーイングの向上効果の特定:利用者の金銭観、自然とのつながり及び地域愛着に着目して」(KEIO SFCジャーナル、2024年)の中で、自然とのつながりや地域への愛着が、人の主観的なウェルビーイングを高める経路を実証しています。地域の中にある「自然」「人のつながり」「文化」が、測定可能な形で幸せに寄与していることを示したこの研究は、今回のパソナ×東北大学の共同研究とも深く共鳴しているように思います。(この論文も非常に面白い論文ですので、別の機会に紹介させていただきますが、下に参考文献としてご紹介しておかきます!)
「日本的ウェルビーイング」の探究は、研究者だけでなく、地域で暮らし、地域で働くすべての人に関わる問いです。経済成長だけでは説明できない「豊かさ」の正体、これを地域という現場から問い直す動きは、これからの日本においてますます必要とされていくはずですし、未来世代のウェルビーイングを考える視点においても重要なテーマであると言えます。
出典・参考文献・参考サイト
パソナグループ×東北大学統合日本学センターが「日本的ウェルビーイングの探究と地域資源との共生」に関する共同研究を開始 – 東北ITトレンド
https://localbook.work/2026/05/14/pasona-tohokuuniversity/
保井俊之, 末吉隆彦, 江上広行, 高尾真紀子「地域住民間のつながりを増進する地域通貨の利用による主観的ウェルビーイングの向上効果の特定:利用者の金銭観、自然とのつながり及び地域愛着に着目して」KEIO SFCジャーナル 23(2)、2024年3月
https://gakkai.sfc.keio.ac.jp/journal/.assets/SFCJ-23-2-02.pdf
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