長寿を「楽しみ」として語れる場が、もっとあっていいのではないか。地域でボランティア活動やさまざまなコミュニティ活動を主体的にされている方々とウェルビーイングについて話し合うなかで、そのようなお話をよく聞きます。長寿の話題になると「介護」「孤独」「お金の不安」といった言葉が出てくることが多いように思います。これらは、目の前にある現実的な課題であるため、もちろん大切な視点です。一方で、長く生きることにはより豊かな側面も数多くあるはず。
WIRED.jpに、そのモヤモヤをそのまま言語化してくれたような記事を見つけました。「日本人が抱く長寿のイメージは、実態以上に暗い」・・・この指摘に、思わずうなずきながら読み進めました。
記事では、博報堂100年生活者研究所とタカラトミーが共同開発したボードゲーム「100年人生ゲーム」が紹介されています。プレイヤーが「ウェルビーイングポイント」を集めながら100歳の誕生日をゴールとする体験型のゲームで、特に75歳以降に幸福感が高まる場面を多く配置しているのが特徴です。長寿を「問題」としてではなく「どんな100年を生きたいか」という問いとして体験的に考える、ユニークな試みです。
その背景にある調査データが興味深いんです。日本国内の20〜70代男女2,400名と海外各国500〜600名を対象にした調査によると、日本人は他国と比べて、長生きに対するネガティブなイメージを持つ傾向が顕著です。しかし実際には、幸福度は20〜50代にかけていったん低下するものの、60〜80代で再び上昇するという世界共通のパターンが存在します。スウェーデンの社会学者ラルス・トルンスタムが提唱した「老年的超越」(加齢とともに社会的規範から離れ、より利他的・精神的になっていく傾向のこと)という概念も、この文脈で取り上げられています。また、京都大学の内田由紀子氏の研究では、日本人は「共同体を起点とする幸福観」が強く、自分の幸せを表現しにくい文化的傾向があることが指摘されています。実態よりも老後を暗く感じてしまう背景には、こうした文化的バイアスも関係しているのかもしれません。
私たちの幸福感は、客観的な事実だけでなく、「未来をどう見ているか」という主観的なイメージにも大きく左右されます。長寿を「リスク」というフレームで見るか「可能性」というフレームで見るかによって、今日の生き方そのものが変わってくるはずです。「100年人生ゲーム」が体験型という形式を選んだのは、頭で理解するだけでなく、体験を通じてイメージを更新しようとする工夫なのではないでしょうか。
「100年という時間をどう使いたいか」という問いを静かに持ち続けることが、今日のウェルビーイングを少しずつ豊かにしていくのかもしれない、と感じています。
ぜひ、以下の情報ソースをご覧になってみてください。長寿とウェルビーイングについて、新しい視点を得られると思います。
出典・参考文献・参考サイト
「日本人が抱く長寿のイメージは、実態以上に暗い:「100年人生ゲーム」が問い直すもの」WIRED.jp(2026年5月10日)
https://wired.jp/article/longevity-wellbeing-perception/
コメント
この記事へのコメントはありません。