先日、クラウドファンディングサービス「キャンプファイヤー」で、目標額の208%を達成したという報告を目にしました。達成率は、それほど珍しくありませんが、ウェルビーイング学の第一人者である前野隆司教授が代表理事を務めるウェルビーイング学会の副代表であり、元文部科学副大臣で、現在は東京大学公共政策大学院教授を務める鈴木寛教授(通称「すずかん先生」)が中心となって進める書籍出版プロジェクトなんです。270人もの方が支援し、目標額100万円に対して約209万円が集まったその反響の大きさに、「これは何かが響いているんだな」と感じました。
書籍のタイトルは『ゼロから始めて社会を変えるソーシャル・イノベーション〜その「違和感」から始める、ひとりビジネス革命』。2026年5月12日に出版されました。鈴木教授が30年間で1,000人以上に教えてきた「すずかんメソッド」を実践ガイドとしてまとめたもので、個人的にご縁のある方々も共著に名を連ねています。私がウェルビーイングデザイン研究会でお世話になっている武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の芝哲也教授、そして同じく私が所属するオンラインサロン「ウェルビーイング大学」でともに学ばせていただいている中川元さんも共著者のひとりです。芝教授が「創造性を学んで一番変わった男」と言わしめた中川さんの視点が織り込まれているも、この本の大きな読みどころだと思っています。
本書で提唱されているキーワードが「Beyond GDP(ビヨンド・ジーディーピー)」という考え方です。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、社会の豊かさをお金(GDP)の大きさだけで測るのをやめ、人間関係の豊かさや自然との共生、個人のウェルビーイングを含めた多角的な指標で見ていこうという潮流のことです。私自身、デジタル庁の「地域幸福度(Well-being)指標活用ファシリテーター」として活動するなかで、この「数値に表れにくい幸せをどう可視化するか」という問いに向き合っており、その意味でも、この本のテーマはとても興味深いです。
書籍の中核にある「AARサイクル」は、従来のPDCA(計画・実行・確認・改善)に代わる行動指針として紹介されています。A(Anticipation=予測・期待)、A(Action=実践)、R(Reflection=振り返り)という流れで、「まず動いて、振り返る」ことを繰り返すこのサイクルは、社会課題のように正解が最初から見えない領域で力を発揮するもののようだと思います。私はベンチャー出身ということが関係しているからかもしれませんが、感覚的にAARサイクルの仕組みは、ベンチャーやスタートアップの仕事の進め方と相性がよいかもしれないと感じます。
また、「違和感」という言葉は、日常ではどちらかというとネガティブな響きで受け取られがちです。「なんか変だな」「これでいいのかな」というもやもやした感覚。でも鈴木教授の言葉を借りれば、その引っかかりこそが、社会をより良くするための最初のシグナルともいえそうです。5月16日には前野隆司教授との出版記念対談イベントも予定されており、ウェルビーイングとソーシャル・イノベーションが交差する場として、ステキなイベント間違いないと思います。
小さな違和感をそのまま流さず、行動の入り口として受け止める人が増えていくことが、社会全体のウェルビーイング向上につながっていくのだと、このプロジェクトを通じて改めて感じました。書籍を読ませていただくのが、今からとても楽しみです。
出典・参考文献・参考サイト
鈴木寛共著(2026)『ゼロから始めて社会を変えるソーシャル・イノベーション〜その「違和感」から始める、ひとりビジネス革命』社会創発塾(CAMPFIREプロジェクト)
https://camp-fire.jp/projects/877900/view
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